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税効果会計(減損処理した上場株式)

 企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」が公表され、平成28年3月31日以降に終了する連結会計年度及び事業年度の年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表から適用となりました。

 簡単にいえば、平成29年3月期の決算から税効果会計に関する規定が変わったということです。

 

 旧監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」からの変更点はいくつかありますが、今回は過去に減損処理を行った上場株式についてです。

 

 この論点は、企業分類2に該当する企業に関係してきます。

 分類2の企業は、従前の取扱いでは(旧監査委員会報告66号)、一律スケジューリング不能差異に係る繰延税金資産は計上できないとされていました。

 しかし、新適用指針では分類2の企業でも、例外としてスケジューリング不能差異に係る繰延税金資産が計上されることが許容されることになりました。

 具体的には、過去に減損処理を行った上場株式(新適用指針75項)や役員退職慰労金に係る将来減算一時差異(新適用指針37項、106項)が挙げられています。

 

 新適用指針の75項では、「業務上の関係を有する企業の株式(いわゆる政策保有株式)のうち過去に減損処理を行った上場株式」について、会社が「将来のいずれかの時点で回収可能である」ことを合理的な根拠をもって説明できる場合、「スケジューリング不能な将来減算一時差異に係る繰延税金資産は回収可能性があるものとする」とされました。

 

 つまり、分類2の企業において、上場企業の持ち合い株式などについて減損処理した場合に、繰延税金資産が計上できることになったということです。

 該当する企業の方はこの変更点にご留意ください。

 

財務会計基準機構HP:

https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/zeikouka2016/

ファイナンスリースの簡便的な取扱い

リースに関する会計処理は、企業会計基準適用指針第16 号「リース取引に関する会計基準の適用指針」に定められています。

中小企業では、リース取引に関する資産負債を認識せず、毎月のリース料をそのまま費用賃貸借処理として計上している会社も多いと思います。
上記適用指針によると、多くのリース取引は、リース取引開始時にリース資産とリース負債を認識して、その後は減価償却費と支払利息を認識していく売買処理(いわゆる両建て処理)が求められています。
これは、リース取引を「リース取引開始時に、リース会社からリース対象資産を購入すると同時に、リース会社からその購入代金を借りる取引」と経済的実態が同一であるとする考えからきています。

所有権移転ファイナンス・リースは、所有権が移転しており、まさに購入と経済的実態が同じであるので、売買処理が求められます。

一方、オペレーティング・リースは、実質的に購入ではなく、いつでも解約できるようなリース便益を受けているだけなので、購入とは同視できず、売買処理ではなく賃貸借処理をすることとされています。

所有権移転外ファイナンス・リースは、所有権は移転していませんが、購入と経済的実態が同じとされ、原則は売買処理ということになります。

しかし、少額や短期のリース取引については、賃貸借処理を採用することができる例外規定が設けられています。(リース取引に関する会計基準の適用指針35項 ”少額リース資産及び短期のリース取引に関する簡便的な取扱い”)

(1) 重要性が乏しい減価償却資産について、購入時に費用処理する方法が採用されている場合で、リース料総額が当該基準額以下のリース取引(リース料総額が僅少
(2) リース期間が1 年以内のリース取引
(3) 企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリース取引で、リース契約1 件当たりのリース料総額が300万円以下のリース取引

企業会計基準適用指針第16 号「リース取引に関する会計基準の適用指針」
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/shihanki-s/shihanki-s_9.pdf

 

計算書類、計算書類等、計算関係書類、財務諸表

「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」第一条によれば、「財務諸表」は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書を意味しています。

「計算書類」と「財務諸表」とはどう違うのでしょうか?

計算書類」は会社法に定められている用語であり、いわゆる財務諸表の類を会社法の世界では「計算書類」と呼びます。
概念は似ていますが、一点大きな違いがあります。
財務諸表に含まれている「キャッシュ・フロー計算書」が、計算書類には含まれていないのです。

「計算書類」に似た言葉で、「計算書類等」や「計算関係書類」などがありますが、これらの違いも整理してみましょう。
具体的には下表をご覧ください。
 
計算書類等 事業報告
事業報告の附属明細書
計算関係書類 ※ 計算書類 貸借対照表
損益計算書
株主資本等変動計算書
注記表
計算書類の附属明細書
※ 成立の日における貸借対照表、臨時計算書類、連結計算書類も含まれますが、本表では除外して記載しています。

概念としては「計算書類等」が一番広く、
計算書類等 > 計算関係書類 > 計算書類
となっています。

 

税効果会計に適用される税率

監査を受けるような会社や上場を目指している会社では、税効果会計を適用しているものと思います。
税効果会計に適用される税率とは何でしょうか?

結論からいいますと、「回収又は支払が行われると見込まれる期の税率」ということになります。(税効果会計基準 第二 二2)
つまり、一時差異等が解消されると予想される期間の税率を使用します。

これには理由があります。
税効果会計に対する考え方は大別して、「資産負債法」と「繰延法」に分類され、我が国は現状「資産負債法」を採用しています。
資産負債法は、差異が解消する期間(将来)の法人税等の支払額に対する影響を、現在の貸借対照表に反映しようとする考え方です。
一方の繰延法は、差異が発生した期間(現在)の法人税等の額を税引前当期利益に対応させるために調整する考え方です。

まとめると、以下のようになります。
資産負債法 差異が解消する時に税額を増加又は減少させる効果がある繰延税金資産(負債)を計上する。適用税率は、差異が解消する期間の税率。
繰延法 差異が発生した年度に、当該差異に対する税金負担額(軽減額)を計上する。適用税率は、差異が発生した期間の税率。


税効果会計基準
http://www.fsa.go.jp/p_mof/singikai/kaikei/tosin/1a918b.htm

親会社が子会社を吸収合併する場合の会計処理

親会社が子会社を吸収合併する場合の会計処理についてです。

企業会計基準適用指針第10号
「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」
438に記載があります。

「親会社持分相当額とこれに対する投資原価である子会社株式(抱合せ株式)の適正な帳簿価額との差額(抱合せ株式消滅差額)は、株主との資本取引から生じたものではないため、次の理由から、損益に計上した上で利益剰余金を増減させることとなる。」
と決められています。

理由としては、
「(1) 抱合せ株式消滅差額が差益の場合は、投資額を上回る回収額を表し、逆に、差損の場合には投資額を下回る回収額を表すことになるので、合併を契機に、このような子会社を通じた事業投資の成果を親会社の個別損益計算書に反映させることが適当と考えられること
(2) 抱合せ株式消滅差額が差益の場合には、子会社から配当金を受け取った後に合併した場合と、また、差損の場合には、子会社投資に係る評価損を計上した後に合併した場合と組織再編の経済的実態が同じと考えられるので、それらの取引と同様の結果が得られるように会計処理することが望ましいと考えられること
(3) 利益剰余金の増減は、原則として当期純利益に反映されたもののみから構成されることが適当であること」
の3つが挙げられています。

一読しただけでは理解は難しいですが、子会社の吸収合併では、親会社に計上されている子会社株式の帳簿価額と親会社持分相当額との差額を、利益剰余金として当期の損益に反映させるという結論になります。

親会社持分相当額は、子会社株式の取得原価に、株式取得後に子会社で獲得した利益剰余金の親会社持分相当額を加算した額を意味しています。

公益財団法人 財務会計基準機構
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/latest/implementation_guidance/combination/

M&Aアドバイザーに対する費用

平成25年9月に企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」の改正がありました。

以前は、取得関連費用(アドバイザー費用等)を取得原価に含めていましたが、現在はIFRSにあわせて、発生時に費用処理となっています。

**企業会計基準第21号26項**
取得関連費用の会計処理
26. 取得関連費用(外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等)は、発生した事業年度の費用として処理する。

割引現在価値

割引現在価値とは、将来のある時点の経済的な価値を、現時点の価値に置き換えて評価したものです。

例えば、現時点で手元にある現金1万円を銀行に預けておくと、1年後には1%の利息がついて10,100円になり、2年後には複利計算で10,201円になるとします。
現在価値は10,000ですが、1年後の将来価値は10,100円、2年後の将来価値は10,201円となります。

逆に考えますと、1年後に10,100円を受け取れる予定があるとすると、その人(会社)がその1年間に運用して獲得することを期待している収益率(上例でいうと利息)を引いた金額が現在の価値ということになります。

将来のある時点で100万円の価値が獲得できる場合、とても運用上手な人からすれば現在では50万円の価値しかないと考えるかもしれませんし、あまりリスクのある(=収益率の高い)運用を好まず国債や普通預金金利での運用を想定している人にとっては90万円の価値があると考えるかもしれません。

つまり、将来の価値が同一でも、期待する収益率が異なると、割引現在価値は異なるということになります。
割引現在価値=将来価値/期待収益率^期間
※「^」は累乗計算の意味です。2期間(年)なら2乗、3期間(年)なら3乗です。
※「期間」は通常1年が多いと思いますが、収益率に対応した期間です。1年複利なら年数となりますし、1月複利なら月数になります。

ご存じの方も多いと思いますが、企業価値を算定する際に用いられるDCF法はこの考え方に基づいています。

最近は会計分野でも、この割引現在価値の計算を利用して、将来の経済事象を現在の価値に評価し直して会計(決算書)に反映しようという考えが主流のようです。

「中小企業の会計に関する指針」と「中小企業の会計に関する基本要領」

中小企業の会計に関する会計基準として、「中小企業の会計に関する指針」と「中小企業の会計に関する基本要領」が制定されていますがどんなものでしょうか?どう違うのでしょうか?」というご質問をクライアント企業からいただきました。

多くの中小企業は、上場企業などの大企業と同水準の高度な会計処理を完璧に実施するは難しいので、簡便的な会計処理を示しつつ、より正確な会計を実施していくための基準といったところでしょうか。

「指針や基本要領の本文は文字が多くて読むのが大変だ。」という方は、ぜひチェックリストに目を通してみてください。
「中小企業の会計に関する指針」の適用に関するチェックリスト
「中小企業の会計に関する基本要領」の適用に関するチェックリスト

本文を読むのは少し大変ですが、チェックリストなら意外に簡単に理解できる内容ではないですか?

「中小企業会計指針チェックリスト」を活用した無担保融資商品等が、多くの金融機関で用意されているようです。
「中小企業会計基本要領チェックリスト」による信用保証協会の保証料率の割引制度もあります。

イメージとしては、
大企業が準拠する会計基準
>中小企業会計指針
 >中小企業会計基本要領
という関係でしょうか。

決算書の注記表に「この計算書類は「中小企業の会計に関する指針」によって作成しています」と書いてあると、決算書を見る方も少し安心できますね。

これを機に顧問税理士さんなどに相談して、正しい会計処理を見直してみてはいかがでしょうか?

原状回復費用(資産除去債務)

中小企業の経理ではあまりお目に掛かりませんが、企業会計基準第18 号「資産除去債務に関する会計基準」に従って、資産除去債務という負債を認識しなくてはなりません。

会計基準では、
”「資産除去債務」とは、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいう。”
とされています。

要するに、「資産を使っている間と将来廃棄する時に必要な費用を見積もって、あらかじめ会計上認識しておいてね。」ということです。

頻繁に出くわすのが、賃借している事務所に関して将来発生するであろう、退去時の原状回復費用です。
当然、資産除去債務として認識するのですが、では「除去に要する費用」をどのように見積もるのか?

(新事務所の除去に要する費用)=(旧事務所の原状回復費用)÷(旧事務所の面積)×(新事務所の面積)
というのが多いようです。

何年も先の費用を正確に見積もるのは難しいので、直近の実績を準用して面積比率で算出するということですね。

それでは、肝心の資産除去債務はというと、「資産除去債務はそれが発生したときに、有形固定資産の除去に要する割引前の将来キャッシュ・フローを見積り、割引後の金額(割引価値)で算定する。」とされています。

長くなりましたので、具体的な資産除去債務の計上方法については、別の機会にさせていただきます。

企業会計基準第18 号「資産除去債務に関する会計基準」
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/aro/aro.pdf
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